GPについて
神戸常盤大学・神戸常盤大学短期大学部 学長 上田國寛
GPすなわち ”Good Practice”とは、高等教育の推進を目指して文部科学省が設けた特別枠の予算によって支援される、優れて斬新な教育プランのことである。いわゆる競争的外部資金の一つで、多数の国公私立大学から提示されるプランの中から、ヒアリングを含む厳しい選考を経て、文部科学省によって選定される。GPにはすでに5年の歴史があり、これまで「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」(現代GP)、「特色ある大学教育支援プログラム」(特色GP),「新たな社会的ニーズに対応した学生支援プログラム」(学生支援GP)、「質の高い大学教育推進プログラム」(教育GP)など、年ごとに新しいテーマを掲げながら拡大されてきた。今日では、GPに採択されるプログラムをもつことが、その大学の優れた教育内容を証明するかの如く短絡的に受け取る向きもある。
本学は、前身である短期大学の開学以来、実学を重んじる建学の精神の下、時代とともに動く政府の文教政策から一定の距離を置きつつ、一貫して堅実な専門職教育を進めてきた。しかし、急速に進む少子化と大学大衆化の流れには対応する必要があり、開学40周年を機に一昨年、健康文化学科を改組して口腔保健学科を開設し、衛生技術(医療検査)と看護の2学科を4年制化して特色ある医療系大学となった。さらに、21世紀型の大学像を追求する過程で、特色ある教育プログラムや個性的キャリア支援を評価するGPとの接点が生まれた。本学本来の教育を歪めないものという理解の下、応募した今年度の2つのGPプログラムが、幸いにも以下に記載の通り2つとも採択された。
これらへの具体的な取り組みは始まって日が浅く、その成果はまだ見えないが、GP採択が本学の教職員に与えた達成感と自信は大きい。それ以上に、教育資源と教育努力をどこに結集させるかについて交わした熱い議論や、夜を徹して学内外とファイル交換しながら文書を作成した経験は、貴重な財産となって本学の今後に役立つであろう。当然GPプログラムを実行する過程でも学ぶことは多いはずで、教職員と在学生および卒業生、大学と地域社会の間に強い絆が結ばれていくことが期待される。そして、最終的に所期の目標に到達できれば、これを学び、享受する学生や地域社会の得るところは極めて大きい。大学として今後ともGP とは程よく付き合いながら、すなわち折々の教学や運営の見直しに活用しながら、資金獲得への偏向に注意しつつ、本学の目指す“小さくてもキラッと光る国際レベルの家庭的な大学”像を追求して行きたいものと考える。